三国時代の武器は長兵・短兵・射兵の三種類で特徴を紹介

1.戦いの基本は装備から武具
三国時代の武器は長兵・短兵・射兵の3種に大別することができる。 長兵は読んで字のごとく「長い兵器」で、先端に鋭利な刃を付けた槍のような武器。一方の短兵は短い武器で、どちらも白兵戦で使用された。

長兵と短兵の長さの目安として、直立した兵士の眉の高さより武器の長さが上なら長兵、下のものは短兵と呼ばれていた。しかし、人によって身長が異なるため、これはあくまでも暖昧な基準でしかなかった。

白兵戦において、攻撃側の武器はほとんどが長兵だったと考えられている。ただし、長兵を防いだのちに間合いを詰めれば、短兵は有効な武器となった。したがって、長兵を持たずに盾と短兵を装備して攻め込む歩兵も少なからずいたという。

また森林での戦いや水上戦、攻城などの限られた空間の戦闘では、長兵よりも扱いやすい短兵が重宝された。このため、長兵で戦う兵士も腰には必ず短兵を装備しており、状況に応じて武器を変えていたという。

さて、続いて射兵〈投射兵器)についてだが、これは長兵・短兵よりも重要な武器とされた。なぜなら、開戦直後は互いに距離を置いて対峙しているため、射兵の総力が強ければ強いほど、戦況を有利に進めることができたからだ。

それゆえに射兵の性能向上は各軍の優先事項と考えられていた。戦闘が少ない冬場は、戦略会議とともに射兵の改良が繰り返され、やがて複数の矢を同時に放つ元戎や巨大な石を投げ込む発石車などが活用されるようになった。

このほか、攻城戦では城門を破る衝車や、城壁を乗り越える塔天車などの大型兵器も用いられている。

また、水上戦では三重の甲板を持つ大型の楼船速度を生かして敵船に突撃するもう衝、小回りが利いて偵察に用いられた艇など、用途に応じてさまざまな船がつくられた。

なお戦闘は兵器の牲能や生産力にも大きく左右されたため、豊富な資源を持つ国土や生産者の確保にも重点が置かれた。ときには古い王の墓を荒らして金属や木材を奪取したり、平定した地の捕虜を労働力にすることもあったという。


2.三国時代に使用された主な武具
長兵

柄の先端に二股の刃が付いた長兵。防御にも優れ、騎兵・歩兵を問わずもっとも使用された。決定力に欠けるので槍や大刀に変わっていく

双戟
メインとなる刃の根元に、2本の刃が垂直に枝分かれした戟の応用武器。典いらが使用したとされる。


槍の一種で、全長は3~5メートルほどあり、槍先も長いものでした。近距離での突き刺し攻撃に適していました。長柄で中距離攻撃、騎馬兵や歩兵。柄の先端に尖った穂先を付けただけのシンプルな長兵。槍(やり)の元祖になった。


柄と歪直に刃が付けられた長兵。両刃の鎌のような形状で、おもに対戦車戦として用いられた。


基本装備で、中距離攻撃向けなので刀剣との併用。諸葛亮がつくったといわれる竹槍。武具というよりも、敵の侵入を阻止する障害物として使用された。槍は、三国時代の主要な武器であり、主に歩兵に使用されました。代表的なものに、丈八蛇矛、青龍偃月刀などがあります。丈八蛇矛は、非常に長く、敵を突き刺す力が強かったため、非常に有名です。青龍偃月刀は、曹操の武将、関羽が使用したことで有名です。


斧は、短い柄の先に斧刃を付けた武器で、近接戦闘に使用されました。代表的なものに、戟斧、大斧、鬼頭斧などがあります。戟斧は、柄にも刃がついた、三叉槍と斧の組み合わせの武器で、槍を使う場合は槍先を、斧を使う場合は斧刃を使用することができました。大斧は、大きな斧で、威力が非常に高かったため、敵を一撃で倒すことができました。鬼頭斧は、斧刃が怪物の頭のような形状をしており、敵を驚かせる効果もありました。

大刀
中距離攻撃向けで馬上台からの攻撃。幅の広い片刃の刀身が付いた長兵。前漢時代、騎兵と戦うために使用された斬馬剣の改良版とされる。


鉞は、斧の一種で、斧刃の形状は弓なりに反り返っていました。敵の兜や鎧に対して有効な打ち込み攻撃ができるため、重要な武器とされていました。


鎌は、刃が曲がった農具を転用した武器で、主に乗馬した兵士が使用しました。曲刀や蛇行刀など、形状によって種類が分かれています。

槍棒
槍棒は、長い柄に槍先をつけた武器で、柄先に棒を取り付けたものもありました。槍棒は、槍で突くだけでなく、柄で殴ることもできるため、近接戦闘に威力を発揮しました。


短兵
短兵器
短い柄の武器で、手軽に持ち運ぶことができ、近接戦闘に適していました。代表的なものに、刀、剣、匕首、棍棒などがあります。刀は、刀身が曲がっており、斬撃を加えることができました。剣は、刀よりも細く、突き攻撃が主体でした。匕首は、小型の短剣で、素早く攻撃することができました。棍棒は、丸い棒状の武器で、振り回すことで敵を攻撃することができました。


三国志の世界では基本装備。片刃の刀剣で、突き刺すのではなく斬るための短兵。短いもので70cm、長いものは120cm程度。


両刃の刀剣。刀と併用されていたが、宝剣としての扱いも多く、高位者の権力の象徴とされた。

手戟
戟の柄を短くした武器で全長70~100cm程度。接近戦のみならず、投げて使用されることもあった。

たん
矛を短くしたような武具。矛と異なり、柄の部分も鉄製だった。おもに北方民族の匈奴が使用。

ヒ首
全長20~30cmの両刃の短剣。護身用として携帯することが多く、暗殺の武器としても重宝された。


刀剣より打撃力があり、耐久性にすぐれる。対人用の武器としても使用されたが、当時は敵軍を威嚇する象徴の役割が強く儀仗用だった。


近距離で殺生能力は低い。


盾は、三国時代の戦争において、非常に重要な役割を果たしました。主に、防御のために使用されました。代表的なものに、青釭剣、虎符などがあります。青釭剣は、剣と盾が一体化しているため、使いやすく、防御力が高かったとされています。


鎧は、三国時代に使用された防具の一つでした。代表的なものに、青龍鎧、虎皮鎧、鉄甲などがあります。青龍鎧は、非常に高価で、華麗なデザインが特徴でした。虎皮鎧は、虎の皮を使用して作られた防具で、熱や寒さから身を守ることができました。鉄甲は、鉄を使用した鎧で、非常に頑丈であるため、武将たちに愛用されました。

射兵

三国時代には、弓矢が非常に重要な役割を果たしました。弓は、主に騎兵に使用され、矢は、敵を射止めるために使用されました。

火矢
火矢は、矢に火薬を塗って点火させ、敵の城壁や陣地を攻撃する兵器です。火矢を撃つための器具である火箭筒も使用されました。


弓に銃身が付いた射兵で現代のボーガン。弓に比べ発射間隔は長いが威力は高い。おもに歩兵が装備。

元戎
弩の大型版。複数の巨大な矢を同時に発射できる。諸葛亮が発明した連弩を改良した兵器とされる。

兵器
衝車
城門を破壊する兵器。巨大な槍を搭載した車で、槍は車の屋根に吊された。鐘を打つ要領で使用。

鉄騎
鉄騎は、馬に乗り、長い槍を持って戦う騎兵でした。三国時代には、主に騎馬民族である匈奴が鉄騎を使用していました。鉄騎は、素早く移動しながら槍を突くことができるため、敵を突破することができました。

発石車
巨大な石を発射する大型兵器。高楼の破壊などに用いられた。動かすためには複数の兵士が必要。

投石器
投石器は、主に城壁攻略に使用されました。代表的なものに、石弩、大弩などがあります。石弩は、強力な破壊力を持ち、城壁を攻略するために使用されました。大弩は、石弩よりも大型で、より遠くまで飛距離が長く、より効率的な攻撃が可能でした。

以上が、三国時代に使用された主要な武器や兵器です。三国時代は、多くの戦争が行われた時期であり、多種多様な武器や兵器が使用されました。現在でも、多くの武器や兵器が三国時代から引き継がれており、その歴史的な意義は大きいものとなっています。


3.主な武将の武器
劉備…双股剣(そうこうけん)
関羽…青龍偃月刀(せいりゅうえんげつとう)
張飛…蛇矛(だぼう又ははじゃぼう)
趙雲…青紅剣(せいこうけん)
呂布…方天画戟(ほうてんがげき)
曹操…い天剣(いてんけん)
程普…鉄脊蛇矛(てっせきだぼう)
沙摩柯…鉄疾黎骨だ(てつしつれいこつだ)
紀霊…三尖刀(さんせんとう)
孫堅…古錠刀(こていとう)
卞喜…流星鎚(りゅうせいつい)
徐晃…大斧(だいふ)
黄蓋…鉄鞭

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