華佗は医術の天才で麻酔をして手術までしていたけど変人だった

1.医術の天才
曹操時代の魏には、音楽、人相見、夢占い、易などの分野に、さまざまな才人が集まっていた。その中でも特筆すべきは華佗という人物だ。

医学の才に優れ、この時代に早くも麻沸散という麻酔薬を考案し、切開手術を行なっている

正史』(「魂書・華佗伝」)には、麻沸散を飲んだ患者はに酔って死んだようになり、何の感覚もなくなってしまう。病気が腸の中にあると見れば、腸を切り取ってきれいに洗い、縫い合わせて膏薬を塗ってマッサージをすれば4、5日で痛みは去り、1か月で回復したという記録もある。

麻酔による手術は、これ以前にインカなどで行なわれていたといわれてはいるか、文字として残されたものがないので実際のところはわからない。

いずれにせよ華佗伝が真実ならば、当時の最先端を行く技術だっただろう。

華佗はほかにも薬学、鍼治療に通じ、奇跡のようなエピソードの数々がある。やがて評判を聞いた曹操に召し抱えられ、側に常時侍るようになり、頭痛持ちの曹操に鍼を打っていた。

ただし、この時代の医者というのは、それほど大切にされていたわけではない。当時の祈祷師や人相見と同じような立場だった。もともと上位の身分の家に生まれた華佗は、自分が医者として見られることに不満を感じていたようで、言動や行為にどこか変人めいたところもあった。

結局、病気の曹操からの要請に嘘をついて出向かなかったことが露見し、獄につながれたまま死ぬ。弟子はいたが、たとえば麻沸散のような華佗の業績を受け継いだというわけでもない。たった一人で研究し、それをそのまま墓に持ち込んだ、まことに不思議な人物だ。


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